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メンヘラおばさんの日常

メンヘラさんが見ている世界

 こんばんは、メンヘラおばさんです。

 8月の間、あまり本が読めませんでした。図書館でわざわざ予約して借りた本を期限内に読み切れず、そのまま返してしまうこともありました。「これ読みたい」と思って確保しておいた本が積み上がっている状態は、自分にとっては結構な異常事態でした。子どものころから、朝食時にはシリアルや牛乳の箱に書いてある文字を無意識に目で追うぐらいの活字中毒者だったものですから。

 ですが、ふと書店で手に取ったこの本のページを開いてから、するすると活字が脳に入ってくるようになりました。 

薬屋のタバサ (新潮文庫)

薬屋のタバサ (新潮文庫)

 

平穏な時間。それ以外に欲しいものなんて何もない――。山崎由実はすべてを捨てて家を飛び出し、知らない町の古びた薬屋に辿り着いた。店主の平山タバサは、由実を薬局の手伝いと家事全般の担い手として住み込みで雇ってくれた。見ず知らずのわたしを、なぜ……。謎めいたタバサの本心はわからぬままだが、由実は次第に新しい生活に慣れてゆく。誰しもがもつ孤独をたおやかに包み込む長編小説。 

 

 と、内容紹介はこのようになっているのですが、実際読んでみるとちょっと違うというか、かなり嘘というか……。

 主人公の由実が住みついた街がなんとなく不気味で、街でぽつぽつと起こる奇妙な出来事ひとつひとつに対する合理的な説明が一切ないんですよ。読書メーター(読書記録をつけるウェブサービス)を見ると「よくわからなかった」という感想が結構ついています。

 しかし、なんとなく不安で不気味な雰囲気を覚えながらも、私はこの物語で描き出される世界に親しみを感じてもいました。もしかしたら主人公の見ている風景は、うつ病の人が見ている世界に限りなく近いのではないか、と。

 

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