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メンヘラおばさんの日常

会社がつぶれた話をします

 メンがヘラって休職するまで働いていた職場は、もちろんお給料も少なかったので、私は副業をしていました。「うちのお給料じゃ暮らしていけないから、事前に届出をすれば副業をしてもいいよ」というシステムだったのです。……そんな自覚があるならまともな給料くれよ。

 

 で、どんな副業をしていたかというと、紙で花を作るとかお守りを作るとかそういうのではなくて、「反訳」という仕事をしていました。いわゆるテープ起こしです。さすがにテープを使うことはありませんでしたけれども。某タウ○ワークで「空いた時間におうちで在宅ワークしませんか?」という広告を見て応募しました。履歴書を持って会社へ面接に行き、社長さんが自ら我が家を確認しにきました。「作業できる個室があること」も採用条件の1つだったからです。結果、無事採用された私は、会社から作業に必要なパソコンや機材を一式借りてお仕事を始めました。報酬は出来高制で、録音音声1時間分を文字起こししたら、4200円もらえるとのことでした。仕事に必要だからと「標準用事用例辞典」を自腹で購入させられましたが、まあ仕方ありません。

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 本業のほうの勤務シフトが無茶苦茶な中、週に1回在宅ワークの締め切りがあるのは厳しかったですが、仕事自体はとても面白かったです。やりとりはほぼメールと郵便で行われ、会社に行く必要はありませんでした(私が郵便局の集荷時間に間に合わなくて、直接会社へ納品に行くことはありました)。

 技能向上のためのセミナーのお誘いもあり、私は1度だけ参加しました。ベテラン反訳者の方のお話を聞いて、ためになるレジュメもたくさんいただきました。ほかの在宅ワークをしている人を初めて見ましたし、社長さんも参加していました。受講料は無料です。

 私は本当にちょこちょことしか仕事ができなくて、お小遣い程度の額しか稼いでいなかったのですが、クビにされることもなく5年近くが過ぎました。とても親切な会社だなあ、と思っていました。

 本業で休職が決まってからも、反訳の仕事は続けていました。ほんの少しでもお金が入ってくると気分が楽になるし、「締め切りがあるから今は死ねない……!」というストッパーにもなってくれました。願わくばこのまま、自宅でマイペースに働いていきたかったのです。

 

 しかしだ。

 

 仕事の少ない年度末に入り、「また仕事が入荷したら連絡します」というメールを最後に、会社とのやりとりが途切れていた時期。唐突にA法律事務所というところから封書が届きました。架空請求詐欺かと思って開けたら、「株式会社○○が破産手続を申し立てました」という旨が記されておりました。

 

 聞いてねーよ。

 

 「つきましてはあなたの持っている債権の額を書いて送り返してくれ」「仕事で使っていた機材全部送ってくれ」とも書いてあります。急いでA法律事務所に電話しました。

「あのー、会社から何も聞いてないんですが本当なんですか」

「そうなんです。会社を存続させるため、、ぎりぎりまでがんばっておられたんですけど、こういうことになりまして」

「はー……。で、債権額を書く欄なんですけど」

「はい。株式会社○○様のほうで、皆様の債権額を把握しておられますので。あなたの場合は先月のお給料と先々月のお給料と」

 

 待って。先々月のお給料も出てなかったの。全然気づいてなかった。

 

「それから未払いの消費税分が幾らです」

 

 待って。私消費税もらう立場の人間だったの。聞いてないよ。

 

 もう何もかもわけがわからない状態で言われるがまま書類を書いて、A法律事務所へ送りました。ささやかな抵抗として、パソコンその他機材は着払いで送り返しました。

 それから何か月かして、今度は裁判所から封書が届きました。

「株式会社○○の破産手続を開始しました。破産管財人は誰々です」

 

 あ、そう。こないだは申し立てをしただけで。手続自体は今から始まるのかい。そうかいそうかい。

 で、私のお給料はどうなるの。

 

 「未払い賃金」で検索すると、こんな制度が出てきました。もらえるはずのお給料の全額はもらえないけど、一部立て替え払いしてくれる機関があるという話です。

未払賃金の立替払事業

 よっしゃこいつに頼ろう。と思った私はまず住んでいる地域の労働相談機関に、次に会社のある地域を管轄する労基署に電話で相談しました。その結果、「私は会社にとって労働者ではない可能性が高いので、未払い賃金の立て替え払い制度が使えないかもしれない」とのお言葉をいただきました。アイエエエ!ナンデエエ!?オカネクダサアアアイ!!

 

 労基署のお兄さんの説明によると、

  • 私が会社の労働者であると認められれば、未払い賃金の立て替え払い制度が利用できる。
  • 私が家庭内労働者(いわゆる内職)や、業務委託先の1つである場合は、未払い賃金の立て替え払い制度は利用できない。

 とのことです。なるほどう。

 

労基署のお兄さん「仕事の募集には何て書いてありましたか?内職とか業務委託とか書いてありましたか?」

私「いや、それがもっとゆるっとした……おうちで空いてる時間に在宅ワークしませんか、みたいな」

労「あー……では契約書は?労働契約書ですか、業務委託契約書ですか?」

私「契約書としか書いてません。報酬額も内税とか書いてないですし、源泉徴収票をもらったときも全額報酬になってました」

労「源泉もらってたんですか」

私「はい。確定申告も毎年それで通ってます」

労「あー……なんかお互い、そこまで深く考えずに雇い、雇われちゃったという感じですね……。」

 全くその通りでございます。

 

 とにかく、労基署のお兄さんのすすめに従って、破産管財人の弁護士さんに連絡を取ってみることにしました。するとやはり、未払い賃金の立て替え払い制度を利用したい、いや利用できるはずだという申し出が1件あったそうです。しかもその人は、もともと会社で働いていたところ、会社の指示で自宅勤務に変更されたという経緯があるようです。そりゃ怒るわな。

 また、私がA法律事務所に提出した債権額と、現在の破産管財人の弁護士さんが把握している債権額が異なっていることもわかりました。1万円ぐらい値上がりしている。なんでやねん。そういうわけで、弁護士さんがすべての在宅勤務者に対して実態調査をする、という約束をして、その日の話が終わりました。

 

 で、そこから1か月ほど経過した現在。

 弁護士さんからの連絡ありません。

 おかあさん、ぼくのあのお給料、どうなったのでせうね。

 

 というわけで、お給料については半ばあきらめている状態なのですが、今回得た教訓は2つ。

  1. 会社はつぶれるときは本当につぶれる
  2. 「内職」「業務委託」の場合、会社がつぶれたら働き損になる

 特に最近、アルバイト情報誌を見ていると、明らかに雇用している(出社時間や就業場所が会社によって指定されている)のに「業務委託」の形態にしている会社が結構あります(マッサージや美容関係に多い)。この場合、会社がつぶれたら給料払ってくれないです。みなさんもお仕事を探すときには注意してくださいね。とほほ。