journal

メンヘラおばさんの日常

夏と花火と私の残骸

 地元の花火大会は、いつも自宅マンションの廊下から見ています。

 去年の花火大会は、休職してすぐのころでした。

 長袖を着て包帯巻いた腕を隠して、1時間くらい花火を見ました。あんまりよく覚えていません。

 

 今年の花火大会が始まる前、夕方ごろにコンビニに買い物に行きました。いつも閑散としているはずの町に、浴衣姿の人の渦が流れ込んでいました。コンビニにはどこが最後尾かわからないぐらいの列ができていました。あの、牛乳買ってきてって頼まれただけなんですけど。ひたすら苦行林の中で耐えました。

 

 花火大会が始まると、近所の人もみんな廊下に出てきます。隣近所の人だから、みんな知っている人のはず……が。

「おじゃましまーっす。わー、やっぱ上にくると違いますねー」

 見たことのないウェイウェイしたお兄ちゃんがやってきました。別の階に住んでいる人だそうです。マイルドヤンキーを体現したような姿かたちをしています。

 お兄ちゃんにつられて、普段はこちら側に来ないご家族も近づいてきました。私はすでに家に帰りたいです。ここ、家だけど。

 

 花火はクライマックスを迎えたようです。あちこちで歓声があがっています。

 フィナーレを見る前に、帰りの電車に乗ろうとする人たちもいるようです。マンション付近の道路では、誘導役のDJポリスさんたちが叫び始めます。

「ただいまー入場規制をー行っておりまーす。安全のためーご協力をーお願いいたしまーす」

 おなかの底に響くような、大きな大きな花火の音。人々の歓声。道にあふれる人々の気配。アップを始める暴走族(田舎にはまだいます)とパトカーのサイレン。若干キレ気味のDJポリス。

 

 

 

 

 結論。今年の花火もやっぱりよく覚えていません。