いつPCデポにカモられてもおかしくない家族の話
PCデポという会社がヨッピー砲を受けて燃えているそうですね。
しかし残念なことに、PCデポさんが激しく燃えている事実を、肝心の高齢者は知らないようです。両親に「PCデポのニュース知ってる?」と聞いたら、「何それ」と言われました。うちの地域にはPCデポさんの店舗がありませんので、10年前のガラケーを使っている父親が知らないのは当然かもしれませんけど、タブレットとガラケーを2台持ちしてる母親が知らないのには驚きました。カモさんたちはカモ鍋にされる危機に全く気づいていません。
で、しばらく母親の様子を見ていて、「これはいつPCデポさんたちにカモ鍋にされても致し方あるまい」と感じる言動をいくつか見つけました。PCデポさんのやり方を擁護する気は一切ありませんが、PCデポさんが示す契約書にハイハイと同意してしまう素地がてんこ盛りなんですよね。
まず、母親のスペック
父と私がAUユーザなのに対して、彼女はドコモユーザです。家族内で通話やメールをすることが少ないのに対して、ドコモユーザである親戚とは通話の回数が多いので、そのほうが安くなると母自身が判断して、そのようになりました。
私が実家にいない時期、マンション向けインターネット回線の営業が複数社から行われたらしく、母は各種プランを検討してeo光と契約をしました。父がAUなのでいろいろお得、とか言われたのだと思います。私が病気になって実家に帰ってくると、自宅にはレンタルのモデムやらルータやらが配置され、無線LAN環境が調えられていました。当時は父がノートパソコンを持っており、母親がメールのやりとりに使っていたようです。ちなみに父はオンラインでない麻雀ゲームに興じておりました。
その後、麻雀ゲームのやりすぎが原因なのか、ノートパソコンがクラッシュ。電源を入れると異音が発生するようになり、誰も使わなく(使えなく)なりました。しばらくはそのままの状態だったのですが、ガラケー使用者だった母がスマホの購入を検討するようになりました。ドコモショップに足しげく通って相談した結果、従来のガラケーとタブレットの2台持ちを勧められ、そのような契約をしてきました。「私はiPhoneだから、androidの使い方はわからないから聞かないでね」と予防線を張っておきましたが、自力でタブレットの壁紙を変えたり、YouTubeでほのぼの動物動画を見たり、好きな歌手の情報を集めたりして勝手に楽しんでいるようでした。
つまり、
- 1人で携帯ショップに行ってお得なプランを選んで契約できる
- 光回線の業者と契約してメールアドレスを作ったりすることができる
- 2台持ちするくらいヘビーなネットユーザである
これくらいのことは十分にできる、コンピュータおばあちゃんだと思っていたのです、私は。
しかし現実は
タブレットを持ち始めてから、母はしばしばタブレットの動作等に対する不満を漏らすようになりました。「アイコンがたくさんありすぎて困る」「しょっちゅうお知らせが来る、いらないのに」「ブーンと通知が鳴ったり光ったりするのに、何も変わっていない」など。いずれも「使わないアイコンをフォルダにしまっちゃえば」「何のお知らせなのか確認して解除すれば」「何か通知が来てるのを見逃してるだけじゃないの」などと答えましたが、母は釈然としない様子です。結局、「ドコモショップ行ってくる……」と出かけていきます。たぶんすごく初歩的な設定とかでつまづいてるんだろうとは思いましたが、やっぱりandroidのことはわからない(関わりたくない)ので放置していました。
ところがあるとき、母がまた「ドコモショップ行ってくる」というので、「今日は何を聞きに行くの?」ときいてみました。すると驚くべき答えが返ってきました。
「いつも見てるTwitterが見られなくなったからドコモショップで聞いてくる」
待たれよ。
私「見られなくなった人は誰さん?」
母「○○さん」
私「(検索して)Twitterに鍵かけてるわけじゃないね。普通に見られるはずだよ」
母「鍵って何?」
私「……(無視して)お母さんの画面ではどういう表示になるの?」
母「Twitterアカウントにログインしてくださいって」
私「ログインすればいいじゃん」
母「ログインって何?パスワードわかんない」
私「(本名でアカウント作った形跡が残ってるのを横目で見ながら)思いだせなかったら新しくアカウント作れば?とにかくそれドコモのせいじゃないから。ドコモのお姉さん、聞かれても困るから。ドコモで聞くのやめな」
その後どうなったのかは知りませんが、ドコモショップでTwitterの使い方を聞くのはやめてくれたようです。
さらに後日。母親がオンライン麻雀ゲームのサイトを発見し、父親がそれに長時間興じるようになったため、月末にパケ死宣告がなされるようになりました。
母「メンヘラちゃんはワイハイを使っているからタダなんだよね?」
私「Wi-Fiな」
母「うん、ワイハイ。それ使えばタダになるってドコモのお姉さんが言ってた」
私「あ、そうか。端末の台数が増えるだけだからドコモでもeo光回線使っていいんだ」
母「でね、ワイハイを使うんだったら設定してくれるんだって。この遠隔操作アプリで」
私「待たれよ」
遠隔操作アプリって何だよ。単語として怖すぎるよ!
私「私が、私がやるから!Wi-Fiをオン、オフするボタンはどこにある」
母「これ」
私「……オンにしても使える回線の一覧が出てこないんですけど、そういうのないっすかね」
母「えーとえーと」
あちこち触るといろんな画面が出てきて前に戻れなくなったりまた戻ったり全然関係ない画面が出てきたりして振り回されましたが、何かの拍子でネットワーク選択の画面が表示されました。ルータのパスワードを入力すると、あっさり「ワイハイ」のマークを表示させることができました。やったわ。
私「そもそも、なんでブラウザゲーの麻雀やってんの。アプリストア、じゃなかったGooglePlayで麻雀アプリ落としてきたらいいんじゃないの」
母「アプリ……?」
私「いやいやいや、GooglePlayあるよね?そこで通信プレイがいらない、オフラインで遊べる無料麻雀アプリを落としてくれば、そもそもパケ死しなかったんじゃないの?」
母「何がオンラインで何がオフラインなのかわからない」
私「…………!!!!!」
結論
我々が予想している以上に、高齢者はインターネットの仕組みを知りません。
当たり前のようにメールを使いこなし、インターネットで動画を見たり、ときには買い物をしたりしていても、彼らは根本的なところを全く理解していません。
で、家族に質問すると、さらに難解な言葉で回答が返ってくるわけです。「アイコンをフォルダにしまうって何だろう」「オフラインって何だろう」みたいな。で、それを聞くとたぶん怒られるだろうなっていうのは、向こうも想像がつくと思うのです。実際に聞かれたらこっちも「そこから!?」みたいな感じになると思うし。
そんなときに「何度でも相談にのりますよ(毎月お金を払えば)」と言われたら、そりゃあもう飛びついてしまうんじゃないですかね。冷たい息子や娘と違って、同じことを何回聞いても怒らないし(お金もらってるからね)、「このサポートにも入っておいたほうが安全ですよ」とか教えてくれるし(お金になるからね)、PCデポさんは親切だなあ!って思うはずですよ。高齢者と中年の間に、マリアナ海溝のごとく深く刻まれたデジタルデバイドが生んだ鬼っ子商売ですよ、これは。
親がなにがしかのデジタルデバイスを利用している人は、一度その辺話してみたほうがいいかもしれませんね。あまりにも話が通じなさ過ぎて、双方がキレて家庭不和を生む結果になるかもしれませんが。
最後に。ドコモショップのお姉さん、いつも母がご迷惑をおかけして申し訳ありません。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。