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journal

メンヘラおばさんの日常

健康に気をつかうメンヘラさん

病気のこと

 国道を越えたところにあるドラッグストアまで買い物にいってきた。近所にも薬局はあるが、お菓子や飲み物といった日用品から、医薬品、介護用品までそろったドラッグストアはここにしかないのである。

 何を買いにきたかというと、鉄とビタミンCのサプリメントである。9月下旬からのストレスで自傷依存的な状態となり、加えて不正出血まで起こしたため、目の下のクマを顔全体に引き伸ばしたような顔色になってしまった。鉄分とらなきゃね。あとビタミン。

 

 国道を渡るときには歩道橋を利用する。通学路としても使われているわりには、柵の部分が非常に低い。「危ないから足をかけないで」と張り紙がしてあるが、なるほど、ひょいと足をかければ簡単に乗り越えられそうだ。歩道橋から下を見ると、車やトラックが途切れることなくガーガーと走っている。わりと簡単に悩み苦しみとおさらばできるのでは、としばらく考える。しかし学校帰りの小学生たちがきゃわきゃわと走ってきたので、だまって歩道橋をおりる。

 

 ドラッグストアにはいろんなメーカのサプリメントが並んでいるが、選ぶということが苦手なので、効果効能が大きく書かれたDHCの袋を手に取る。ついでに消耗品やバファリンプレミアム40錠入りを買う。総じて結構な金額になったけれど、Tポイントがたまるので近所の薬局で買うよりはお得感がある。

 帰り道は、なんとなく歩道橋は避けて、別のルートから帰る。

 

 このように「死にたみ」を感じながら健康に気を遣う、しかもTポイントまでためようとする、というのは矛盾した行動に見えるかもしれないのだけれど、一応メンヘラさんの中では筋が通っている。それはつまり回復期に入っているということだ。

  本当にどうしようもない時期は「消えたい……」と泣きながら布団にくるまっているしかないのだが、回復期になると家の近所をうろうろすることができるようになる。すると「早く良くならなくちゃ」と考えて、健康や見た目に気を遣うようになる。

 しかしこの「早く良くならなくちゃ」というのは前向きな姿勢に見えるが、反面回復を焦っているようなところがある。「早く前みたいに働けるようにならなくちゃ」「早く普通の人みたいにならなくちゃ」と自分を追い込むと、また一周回って「消えたい……」が脳裏をかすめる。しかも、家の近所をうろうろするだけの体力は戻ってきているので、たまたま家の近所にアイキャンフライな場所があると、運が悪ければフラッと逝ってしまう可能性がある。

 

 とにかく今は他人と自分を比較しないこと、アイキャンフライな場所を避けること、トリガーとなるようなダメージを受けないことが大切だと思っている。

 などと言っている今日も、通りすがりの知らないおばさんから連続でどーでもいい内容のことを話しかけられて強ダメージをくらっている。これは本当に本当に本当に本当にやめてほしい。おばさんにとっては他人に話しかけるなんぞ日常の風景なのかもしれないが、「普通の人に見えるように受け答えをしなければ」と脳味噌を掻き回して七転八倒するこちらの身にもなってほしいものである。もう人間やめたい、ここではないどこかへ行きたい……と呻きながら、鉄とビタミンCのサプリメントを摂取する私であった。

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