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メンヘラおばさんの日常

国民年金保険料で死にかけた話

 今年も国民年金保険料の納付書が一式届きました。

国民年金保険料って、いくら?|日本年金機構

 これまでの人生、就職氷河期世代の見本みたいな就労をしているので、国民年金に入ったり出たりを繰り返しています。とにかく出入りが激しいので、ねんきん定期便のようなサービスはありがたいです。一部払えなかった時期があるみたいなんですが(おそらく私が新卒でゴミみたいに使い捨てされて廃人一歩手前になって、家族も年金のことまで頭が回ってなかった時期。気づいた時に追納しようとしたけどできなかったそうです)、そのほかの時期は「済」のマークで埋まっています。

 バイトバイト日雇い派遣派遣バイト市役所臨時職員と目まぐるしく肩書きが変わる中、国民年金保険料を天引きではなく自分で払わなければならない年度に当たったとき、私はいつも1年分を現金で一括払いしていました。一括払いすると保険料が割引になるからです(そもそもなんで割引になるんだろう、とも思うんですが。国民年金って、割り引いていい性格のお金なのか?年金機構はそんなに差し迫ってお金が必要なの?てるみくらぶなの?)。あと、銀行窓口で札束をドギャンっと叩きつけることで(20万弱だから大した札束でもなければ、全力でコイントレーに置いたところで「ぺっちん」ぐらいの音しかしませんが)、非正規だってこれぐらい一括で払えるんだぜええええぇどやああああぁ感を味わうことができました。

 

 しかし今年は。迷いましたよ、やっぱり。

  今まで、銀行窓口で薄い札束ぺっちんできてたのは、「今これだけ払っても、また稼いだお金が入ってくる」という確信があったからです。今年はそれがないです。このままではお金が入ってこないということだけがはっきりしていて、いつ働けるようになるのか、おばさんを雇ってくれるところがあるのか、それらについては全くわかりません。

 銀行の通帳の残高を見るに、20万円弱を一括払いすることは、可能です。しかしこのお金は、メンヘラおばさんが健康で文化的な最低限度の生活を行うことで、毎日少しずつ減っていくわけです。この残高が0になるまでに、メンヘラおばさんは普通のおばさんになり、就職活動を行って成功し定期収入を得なければなりません。とてもわかりやすいカウントダウン指標です。しかしこのお金が1回の支払いでドギャーンと減ったら……メンヘラおばさんの残り持ち時間もドギャーンと減ります。この際だからはっきり金額を言いますと、残高100万ちょいが80万ちょいになります。残り持ち時間が一瞬で20%減です。ボス戦かよ。しかも補給部隊はいません。ヒーラーも魔術師も泥棒もいません。パーティは「むらびと」1人です。しかもちょっと弱いむらびと。何かの呪いを受けた後遺症なのか、判断が遅く知知力も体力も低いむらびと。もしこれがゲームなら、リセットしてプレイヤーの設定からやりなおすところですが、残念ながら人生なのでリセットできません。セーブ機能はついていませんでした。そこでこの選択肢が脳内に点滅します。

 

どうしますか?

 →たたかう

 →にげる

 →しぬ

  •  「たたかう」

 つまり20万叩きつけて今すぐ職探しを始める。毎日昼まで起きられず、外出すると4時間で限界が来て2時間動けなくなる呪いをかけられたむらびとですが、見境なしにバイトを探す。タウンワークで地元のお仕事を検索すると、飲食介護ドライバー飲食介護ドライバー飲食不動産営業工場勤務(3交代制)の文字がずらりと並ぶ。どう考えても「たたかう」は無理でした。

  • 「にげる」

 払わない、という選択ですね。保険料を払えない人のための制度というのは実際にあります。

保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構

 しかしまあ猶予が付く(後で耳をそろえてきっちり払う)か免除になる(とはいえペナルティとして将来受け取る年金額ががっつり減る)か、その2択なんですね。クレジットカードは踏み倒してもいいが公金は絶対踏み倒すなという中村うさぎ先生のお言葉に従うならば、「にげる」は恥だし役にも立たないということになります。

  • 「しぬ」

 ……これじゃね?むらびとが選ぶベストチョイス。これしかなくね?

 

 ここまで考えたところで脳がビープ音を発し始めました。キケン、キケン。イマスグ退避シテクダサイ。

 しかし思考は止まらない。「年金も払えないなんて情けない……いや払おうと思えば払えるけど……どうせ払うんだったら安くなるから一括がいい……でも今これ払っちゃったらもう……分割にするにしても、やっぱりお金が減るのは同じわけで……早く就職しなきゃ……就職が無理でもバイトとか……でも電車怖いバス怖い知らない人怖い知らない土地怖い……知らないジジババから出合い頭に罵られたくない……クレームと称して知らない人からご利用時間無制限のサンドバッグにされたくない……でもお金稼がなきゃいけない……稼げないなら死ぬしかない……!」

 

 以後の展開は察してください。

 

 

 結局、今年の国民年金保険料は家族に払ってもらうことになりました。

「そうやって自分で自分を追い詰めるのよくない」

「父と母は現在年金がこれぐらいもらえていて、あなたにかかるお金をこれぐらい払ってもこれぐらい毎月残るから大丈夫」

というようなことをたたみかけるように言われて、ようやく納得しました。

 

 で、なんで国民年金保険料の話から、死ぬの生きるのって話になるのか。自分でもよくわかりません。とにかく国から「払えよ」って送られてきた納付書の額面を見てショックを受けたんですね。ショックを受ける、ということそれ自体が、どうもよくない方向に向かって脳をショートさせた、みたいな感じですかねぇ……。しかし「親展」と書いてある以上、私が封筒開けてしまいますからね、どうしようもないですね。

 で、来年も再来年もその先も、厚生年金に加入できない限りこの封書はやってくるんですよね。生きてるだけで国から要求されるお金、毎月1万7000円弱。そりゃ自分の将来のためではあるけれども、「将来」というものを一切思い描けないメンヘラにとって、この出費は一体何のための……って考えてしまいますね。今すぐ死ねば将来は来ないんだからこのお金を払わなくてすむな、とか……。国民年金とはなんぞや、と考えること自体が、じさつスイッチを全力で押しているような気がします。私だけですかね。私だけだったら別にいいんですけどね……。